第四章

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「この一帯にも結界を張った。  気づかれる心配はない」 「ああ、そう。  で、遅れた理由はなに?」 「エルサのことで、カストル兄さんに呼び止められたんだ。  エルサがひどく落ち込んでいると」  ルイスが声を低めた。  ロキは沈黙する。  それからルイスは、アイリスを振り返ってこちらに駆け寄ってきた。 「アイリス」  黄金の結界が消えた。  しゃがみこんでいるアイリスの前に膝をついて、頬に手を添える。 「遅くなってすまない。  怪我はないか?」 「うん……」  アイリスはうなずいて、涙で潤む瞳をルイスに向けた。 「うん、どこも怪我してない。  これをルイスに届けに行こうと思ったの」  手袋を差し出すと、ルイスはそれを受け取ってローブの懐に入れた。  「ありがとう、アイリス」と言って、頬にキスをする。  そのままアイリスを抱き上げると、背後のロキを振り返った。 「やり方はどうあれ、この子を止めてくれたことには感謝するよ。  けれどおまえは城塞に戻ったほうがいい。  エルサのそばにいてやってくれ」
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