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彼は常々そう言っていた。
「寒い冬に、寝場所を転々とするような生活をアイリスにさせたくない。
本当は、この小屋にいさせたくないくらいなんだ。
もっと広くて、清潔で、明るさに満ちた部屋に住まわせて、食べ物も着る物も、娯楽だって存分にあるような、そういう生活を僕はきみに送ってほしいと願っているんだよ」
「ルイスがなにを言っているのか、全然わかんない」
「なにより、きみの身と心の安全を。
これは僕のためでもあるのだけれど」
アイリスの腕から外套の袖が引き抜かれた。
ワンピース姿に戻ったアイリスは、泣きそうになってしまう。
「生活とか安全とか、全然わかんない。
だってルイスは今日も城塞に帰っちゃうということでしょ。
五日後にするということは、そういうことでしょ?」
「ごめん、アイリス。
きみは、きみ自身が思っている以上に危険な立場にあるんだ。
だから、そういう状態からアイリスを救い出すためには、状況を見て判断を――」
「そんなの知らない!」
アイリスは怒鳴った。癇癪を起こしていた。
「ルイスの嘘つき、ずっとそばにいるって、言ったじゃない!」
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