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「嘘じゃないアイリス、僕は」
「ルイスなんてもういい、ルイスなんか嫌い、大嫌い。あっちに行って。
出て行って!」
ルイスは、不可思議な光を瞳にたたえてアイリスを見つめた。
アイリスはなぜか、そのまなざしを怖いと感じた。
「僕はきみのことがなによりも大切だ。
きみがなにを言おうと、僕はきみのそばにいるよ、アイリス」
「……信じない」
怖気づきつつも、アイリスは首を振った。
涙がぽろぽろと零れた。
「信じない、ルイスは嘘つきだもの。
ルイスが出ていかないなら、わたしが出ていく。
ルイスの顔なんて、もう見たくない」
言い捨てて、アイリスはベッドから飛び降りた。
しかしドアノブを握る直前で、後ろから左の手首をつかまれる。
「やだ、離してルイ――」
手首を強く引かれて片腕に腰を取られ、体を反転させられた。
そして抗議の声は、ルイスのくちびるに塞がれた。
「っ……――」
腰を抱く片腕に、力が込められる。
熱いくちびるがアイリスのそれに押し当てられ、それから顎を掴まれた。
上向かされ、いっそう深く重ね合わされる。
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