第五章

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第五章

38 情熱と求婚  ルイスを見なかったか、とカストルがエルサに尋ねてきた。  エルサは、靄のかかったような頭でぼうっと考えてから、ゆっくりと首を振った。 「いえ、ルイス兄様とは三日前に会ったきりです」 「そうか……まだ森の中にいるのかもしれないな。  まったくあいつは、連絡の一つでもよこさないで」  朝食を終えた後の、エルサの部屋だった。  空はよく晴れていたが空気の乾燥した日で、窓の外は北風が吹いていた。  エルサは窓際の椅子に座って編み物をしていた。  園丁たちに、作業中に使えるようなマフラーを編んでいるのだ。  編み棒をもつ手元を見やりながら、カストルは遠慮がちに言う。 「夜は眠れているのか、エルサ」 「はい、大丈夫です」  エルサは兄を見上げてほほ笑んだ。 「カストル兄様がくださったハーブティーが眠りにとてもよく効くの。  ぐっすり眠れているわ。  ありがとうございます、お兄様」
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