夏の匂いを偲ぶ

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 どうしてこうなったのだろうか。  僕は隣で目が点になっている彼女を見た。いつも笑っている彼女がこんなにも呆気にとられた表情をするのは珍しい。それくらい異常事態が発生しているということだ。  それもそのはず。今、僕と彼女の目の前にはスーパーでよく見かける普通のタマゴが花壇の中に半分顔を出して埋められている。こんな場所にタマゴが埋められていること自体が変わっていて、異物であることを強調していた。電車内で見つけたらすぐに駅員に通報するレベルの不審物だ。  彼女がタマゴから僕に視線を移した。彼女と目が合ったことにドキッとなる。思わず目を反らしてしまった。気を取り直してもう一度彼女の方を見てみる。彼女のくりくりとした大きな目が僕のことをじっと見つめていた。  これが僕が彼女と交流した最初での日だった。
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