桜を嫌いな理由

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 春がやって来る。その季節自体は過ごしやすいし、何だか色々と上向いてくるようなイメージがあるから好きだ。いや、ずっと好きだったという過去形になっているけど。  産まれてこの方、実際に暮らしてきた環境は、その時々で感じ方なんて違った。それなのに、今は桜の咲くこの時期が大嫌いになった。別に桜の見た目が嫌いなわけじゃないし、むしろそれは好き。  どうしてと言えばたった一つだけ、大切な人との別れが迫ると桜がポツポツと咲き始めて、満開になった頃にはさようならになるから。失って初めてその大きさに気づいて、涙するのが凄く嫌。  別れと出会いの季節なんて言ったりするけれども、別れるくらいなら出会いたくなんてなかった。後悔じゃない、ただ自分の無力が悲しいだけ。いつもそう思い知らされるから。だから目に入るとつい思ってしまう、やっぱり桜が嫌いだなって。
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