月のこども2

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月のこども2

 「あたってないもん!」の子には、「他害(※1)」をしてしまう癖があった。  感情のコントロールが苦手で、気持ちを言葉にして伝えることが困難である為、ヒートアップすると「外の役割にまわるべきだ」の子に、危害を加えてしまう恐れがあった。  本来であれば、「贔屓」「正しくないやり方である」「誤学習(※2)をさせてしまう」と受け取られかねないやり方ではあったけれど、「お月謝」を頂いている「習い事」で、「あたってないもん!」の子を納得させる為だけに、他の子達の「学ぶ時間」を無視することは出来ない。  「体操」の先生は仕方なく「1度までならば、この子はボールにあたっても見逃そう」と言う、なんとも曖昧かつ、他の子たちには適用されない「謎のルール」をぶち上げて、「あたってないもん!」の子だけを特別扱いしてしまった。  …これじゃ、成長に繋がらないんじゃないかな?  ※1「他害」⏩ここでは、他人に暴力をふるう、と言う意味で使っています。  実際には⏩他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産等に害を及ぼす場合を言います。  ※2「誤学習」⏩「正しくない」場合でも、自分にとって都合の良い学びを得て、同じような場面で「周りに不利益が生じても」その行動を繰り返してしまうようになること。
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