月のこども6

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月のこども6

 ミイちゃんは1年生で、真面目だけれど、1度スイッチが入るとお喋りが止まらなくなる。  自分の良く知っていることや、興味のあることが話題にのぼると、突然一方的に弾丸のように知識を披露しはじめるのだ。  今日は、蝶々の話だった。  お絵描きをすることになり、「好きな生き物はなんですか?」の一言が、きっかけになったようだった。  お陰様で私は蝶々と蛾は同じであることと、触覚の役割と、それぞれ聞いたこともない名称の蝶の特性や生息地域、羽の模様の特徴などを知り、一つ二つ、三つ四つは賢くなった。  それは置いておいて。  ミイちゃんが語り出してしばらくすると、ノリちゃんが「しね!」と叫んだのだ。  止まることの出来ないミイちゃんの側へ行こうと立ち上がったノリちゃんを、私が背中から抱き締めて「落ち着こうね、少しだけ待ってね」と声をかけ、手をぎゅっと握って、オモチャの方へ連れて行こうとした。  …だけど。  
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