2章 第26話 フェスティバル

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2章 第26話 フェスティバル

2章 運命の輪 roue de la Fortune 私は「時の加護者」アカネ。 極寒のフェルナンはさすがに寒い。森を歩いていると太鼓の音がする。近づいていくと「アリアの町」へ辿り着いた。夕暮れになり私たちはその町で一晩過ごそうと考えた。「アリアの町」は感謝祭が行われていた。 —フェルナン国 アリアの町— 町に入るとそれはもう盛大なフェスティバルだった。衛兵マジムさんが会場にいる人たちに向かって大きな声で叫んだ。 「今日はビーシリーの名料理店から料理人アコウが来てくれたぞー! 料理の事はこいつに任せておけば大丈夫だぁ! 心置きなく祭りを楽しもう! 」 「「「おおー!! 」」」 凄い大歓声でアコウを迎えてくれた! 「お嬢様方も今日は町のおごりだ! 好きなだけ飲んで食べて踊ってくれ! 」 「「イエーイッ」」 間髪入れず私とシエラは腕タッチをした。シエラはお酒、私は何かのフルーツジュースを手に、大テーブルに並べられた料理をほおばった。そこには何と肉料理もあるではないか!! 「ひっさしぶりの肉だー!! 」 鶏肉と豚肉の間みたいな少し固めの触感だが噛めば旨味成分の肉汁がたっぷり溢れ出る。少し酸味のある柑橘類のしぼり汁をかけると、芳醇極まりない味となり何切れ食べても飽きることない。つまりは凄くおいしい! 「2人とも料理は気に入ってくれたかい? 」 「マジムさん! めっちゃ美味しいです! 肉料理サイコー! 」 「ウムグムム!! 」 シエラは口に目一杯詰め込んでるため何言ってるかわからない。 「それはよかった。でもまだまだこれからが本番だ。今、アコウが味付けしている鍋こそがこのアリアの町の名物料理だぞ! 味わってくれ! 」 「はい。遠慮なく! 」 シエラの手を引きお相撲さんが3人も入れそうな大きな鍋を見に行くと、看板から引きはがしたような巨大なカニや一辺が30cmもある白魚の切り身、手のひらより大きな2枚がい、そしてたくさんの野菜と肉が鍋からお触れるほど山盛りに積まれている。味噌仕立てのスープにこの野菜と肉や魚介類のうまみが溶け込んでいくのだ。想像するだけでよだれがでそうだ。 料理ができるまで会場ではお酒が盛大にふるまわれた。すると見張りを交代した衛兵のマジムさんが声をかけてきた。 「あっちでシエラちゃんはお酒を飲んでるけど君は飲まないのかい? 」 「私、未成年ですから! このフルーツジュースで十分です。おいしいですよ! 」 「未成年? よくわからないけど、ジュリアス虫のジュースが気に入ったならよかった」 「ジュ、ジュリアス ..虫? 」 「ああ、あそこで絞ってるだろう! 」 口から飲んでいたジュースをダラーっと出す私を見てシエラが大爆笑していた。 太鼓が大きな音で警戒のリズムを奏でると、シエラが私の手をひっぱって太鼓の前でカポエイラを舞いだした! 「アカネ様も一緒に! 」 「よーし! 」 私たちの舞いに人々が歓声をあげ、ますます太鼓はヒートアップしていく! 『凄いなお嬢さんたち! 』 『かっこいい! お姉ちゃん』 『私の若いころを思い出すよ』 楽しくて、楽しくて踊りながら笑いが止まらなかった。舞いが終わるとみんなが声をかけてくれた。 「おーい。大鍋の味付けが終わったぞ、あとはこの灼け石を放り込むだけだ! 」 まさしく『石狩鍋』だ。鍛冶屋さんらしい人が炉から真っ赤に灼けた石を取り出した。そして、専用の機械の上に乗せられる。機械担当の人が向きやバネの調整を細かく指示を出している。どうやらこの機械で跳ね上げて鍋の中に落とすようだ。 「さぁ、お楽しみのカウントダウンだ! 」 どうやら祭りの一番の催しのようだ!みんなが一斉にカウントダウンを唱える! 『3 』『2 』『1 』『0 』 ガチンッ!ガチンッ!.. 「すまん。どうやら機械が壊れてしまったらしい」 盛り上がりの最高潮で.. 「大丈夫!! アカネ様が蹴り上げるから! 」 『『『おおーっ』』』 「ちょっと、シエラ! 」 「大丈夫! 大丈夫! やって! やって! 」 どうやら酔っぱらっているようだ。でも..ヨシ! やってみるかなっ! 「じゃあ! 私、蹴り上げるからみんなよろしく! 」 『3 』『2 』『1 』『0 』 「セイッ!!」 灼熱石が『ゴッ』という音と共に天高く上がる。上がって ..上がって まだ ..上がって..  まずい! 上がりすぎだ! そして一気に鍋に落ちてくると、鍋の中身が全て周りにはじけ飛び、輪になって見ている観衆に丸々かかってしまった! ..会場は大きな笑い声で包まれた! 「大丈夫だ! シエラが大食いだからもう1杯作ってある!! 」 アコウがそういうと、酔っぱらったシエラが『なんだと! こんにゃろ! でも、でかした! 』と返す。会場はさらに大きな笑いが起きる! 2度目は適度に蹴り上げ、見事に鍋にイン! グツグツと沸いた熱々のアリア鍋を堪能することが出来た。
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