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という質問に私は目を丸くして「知ってるの?」と言うと彼女は頷いて人差し指で、ある工場を指して言った。
「晴美ちゃんなら、確かあの工場付近に行くって言ってたよ」
「え!…桜見るって約束したのにどうしたんだろう。」
と顔をしかめた後、「ありがとう」と告げて私は工場に急いで向かいながら思った。あの子、晴美の友達なのかな?と。
「晴美ー!どこにいるの?」
工場に着いた私は呼び掛けながら工場付近を歩いていたが、一向に彼女の姿は見当たらない。もしかして神隠しにあってしまったのかとそんな迷信が脳裏によぎりながら、歩いていたときだった。
「………しますよう……に」
どこからか、か細く小さな声が私の耳に届いた。いぶかしげに思いながら耳をすまし、足音を忍ばせながら声の方向に歩いていくとー
「あっ………」
そこには晴美がいて、花束が置いてあるところにしゃがんで目を瞑りながら手を合わせていた。
どうやらあの子の言ったとおりだったらしい。
私は話しかけようと口を開きかけたとき、彼女は目をゆっくり開けてからぽつりと言った。
「………笑?」
「え?!」
バレていないと思って近づいていた私は自分の名前を言われて一瞬呆気にとられたが、すぐに返事をすると「そっか……」と彼女は微笑んだ。
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