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「もう高校生になるね………私は不安だな…」
「私は楽しみだよ!」
「………うん…うん…そっか……」
「不安なことがあったらなんでもー」
と私が自信満々に言おうとしたときだった。彼女は下を向いて
「もう笑と会えないかもしれないなんて…私はまだ受け入れられないんだ」
と涙混じりの声を漏らした。
そんな言葉を向けられて、私は度肝を抜かれて数秒間声が出なかった。でも何か言わなきゃと思い無理やり口を動かそうとする。
「え………ちょっ…ちょっとまっー」
出そうとした言葉は喉が詰まったせいで上手く言えなくなり、ちょっと待ってよという言葉も彼女の言葉にかき消されてしまった。
「ごめんね………」
やめて……言わないで…………謝んないでよ…。私の頬にはいつの間にか涙が伝って地面のアスファルトに落ちる。私は思わず鼻を啜り、堰を切ったように涙が溢れ出た。彼女には届かないはずなのに、何とかして泣いている音を出して、自分がいることを必死に伝えようとしたが、彼女はただ泣くだけで私の方には振り向きもしなかった。
何故、自分はもう死んでいたことに気が付かなかったのだろう。毎年この時期には一緒にあそこに行っていたから、また待てば来てくれるとそう思っていた。
それに気付いた次の瞬間、今まで思い出せなかったあの時のことがよみがえった。
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