満開の桜の下にはシトリン

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「う……」  ここ……どこだろう…もしかして、地獄かな。 「(えみ)!!」  と言う甲高い声が聞こえると、目の前に現れたのは今一番会いたかった人だった。 「え?は…晴美(はるみ)?なんで…」  困惑状態の私を晴美(はるみ)は構わず力強く抱きしめる。 「よかった…本当に本当にごめんなさい。」  と半泣きの彼女のペースについていけない私はとりあえず質問をする。 「う、うん…。あの、私はどうしてここにいるの?」 「……ずっと意識不明の重体だったんだよ。私が……押したせいで……犯人が(えみ)を刺して…。そいつは捕まったんだけど、私は毎日(えみ)が刺されたところに行って意識が戻るように祈ってたの」  それって、もしかしたら…私がさっき見ていた晴美(はるみ)なのかな。じゃあ、夢だったってこと?自分は殺されて死んだんだと思ってた。でも、現実で本当に起こっていた事だったみたいだし、どうなんだろう…。 「許されないことだとわかってる。本当にごめんなさい」  と泣きながら謝罪する彼女を見て私は言いたかったことを思い出した。もしもこれが夢であっても言わなければいけないから。もう同じ失敗はしない。二度と狼になんかならない!私はそう決心をして彼女を真っ直ぐ見つめながら言った。 「晴美(はるみ)ごめんね。あなたが私を押した原因は自分の日頃の行いのせいだよ」 「え?」 「私、いつも我儘で晴美(はるみ)のこと、周りのことを考えてなかった。それにいつも優しくしてくれてるのに、自分はそれを当然のように日々過ごしてた」 「……………」 彼女は何も口を挟まずに真剣に私の話を聞いてくれていた。 「優しくするって、すごいことなのにね」
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