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私は段々正面にいる彼女の姿がぼやけていき、せっかく我慢していた涙が出るのと同時に恥ずかしくなって下を向いてしまった。
「ずっと私は晴美を傷つけてたのに、なんで離れなかったの。どうして冷たくしなかったの」
毎日のように優しくしてくれていたその人は傷つけられても、顔色変えずに私の隣にいてくれた。
「笑」
と泣いている私に対し、彼女は「顔を上げて」と言った。涙を手で拭きながら、ゆっくり顔を上げると、彼女は今まで見たどの人の顔よりもあたたかい笑みを浮かべて言った。
「私がね、笑の隣にずっていたのはー
私の大切な親友だったからだよ。
私、毎日後悔してたの。笑のことで私は笑顔を絶やさなかったんだけど、本当は辛かった。だからあの時ー………。その後の数日はずっと泣いていて、体調不良が続く日々を送っていた。そんなある日、夢を見たの。笑が泣いてる夢で、さっき言ったことをそのまま何度も言ってた。私も泣いちゃってさ…もう一度会いたいって思ったの。…………長くなっちゃったけど、私は笑が生きていてくれて本当に嬉しいよ」
今正面にいる桜の人はそういう人じゃなければ出来ない程春のような顔をしていた。
「こちらこそ本当に、本当にありがとう」
と私達は泣きながらお互いを強く抱き締め合った。
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