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「おーい!早く早く!」
「わかってるって!ちょっと待ってよ」
あれから一年。私達は明後日高校二年生になる。それを祝うように今年もこの並木道は秀麗な桜を咲かせている。
「うわぁーすごく綺麗!!」
時々思う。この桜が私と晴美を仲つつまじくしてくれたのかな、と。
「本当だね。晴美にそっくりだよ」
おかげで私と晴美は今も親友の仲だ。
「ええー!嬉しいな!」
と笑い合っていると晴美が「あっ」と声を上げて立ち止まる。彼女の目線の先にはー
「あれ?あの子…」
確か、あの時、夢の中で私に晴美の居場所を教えてくれた子だ。
「ああ、あの子はこの季節になるとよくここにいるよね。」
と晴美が笑顔でそう言った。
「え?……晴美の友達じゃないの?」
「………ううん…違うけど」
え?……友達じゃない?じゃあ、あの子は何者なんだろう。そういえば、あの時、晴美もまた夢を見たと言っていた。
「もしかして…あの時、晴美の見た夢にあの子、出て来なかった?」
「え?ああ、あの時ね。そういえば……色々教えてもらったような……」
「…実は私も晴美と似たような夢を見たんだ」
「え?そ、そうだったの?…じゃ、じゃあ、あの子はー」
と私達が女の子の方に目を向けた時にはもうそこにはいなかった。
「あ、あれ?」
「あの子……どこ行ったんだろう」
気になって私と晴美はその子の姿を探したがやはりどこにもいない。諦めて桜を二人で見上げた。今思えば少し不自然なところがあったことに私は気付く。元々そこにはいなかったかのように周りの人はその子に見向きもしていなかったのだ。 それに気が付いた時、私の心を読み取ったかのように晴美はぽつりと呟いた。
「もしかして……あの子、桜だったのかな」
「え?」
「だってさ、笑も私と似たような夢を見たんだよね?しかもその夢でさっきの女の子が出てきた。これって、やっぱり偶然じゃないと思う。」
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