側についていて

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側についていて

3d58eda3-b90a-4c1b-9dbc-9f9a302bc9eb  突然のことで、俺は授業中だと言うのに大きな声をあげてしまって、周りのクラスメートを驚かせた。  教壇では、教師までポカンと口をあけていた。  まあこっちは、俺が謝罪の言葉を吐いたから、そちらの方に唖然としたんだろう。  そう、俺はハッキリ言って不真面目だし、授業中なんかほとんど寝てる。  突然「うわ!!」っと叫んで椅子から立ち上がり、教室が一瞬ざわついた後で、夢か、と胸を撫で下ろすと、頭を下げて、すんません、と呟いて席についた。  再び教師の子守唄が流れはじめ、俺は間近で声を拾ったと感じた右耳をおさえる。  幻聴の経験はなかったけれど、それかもしれないと言い聞かせ、今度は机に伏せることはやめて頬杖をついた。  窓からそよそよと入り込む生ぬるい風に、長めの金髪の前髪が揺れて額をくすぐる。  うつらうつらとしはじめて、ゆっくりとまぶたを閉じた。  「寝てはダメです。今やっているところ、テストに出ますよ」  「っ…!」  ガクン、と手のひらから頭がおっこちたけど、なんとか首の筋肉を駆使してその場にとどまる。  もちろん目をあけたし、2度めだったからか、声をもらすことも耐えられた。  俺の席は窓際の一番後ろで、一ヶ月前にこの中学に入学して、はじめてここに座った時から、隣には机は存在していなかった。  当たり前だけれど、俺の右側には誰もいない。  さっきだって今だって、誰もいない。  いい加減にしろよ、安眠させろ。  
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