眠気と手を繋いで

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

眠気と手を繋いで

すれ違うあいさつのなかひとりだけ返せずポツンと佇んでいた 思い切りぶつかる人の背中から悲しい笑みが見え隠れする 優先席で談笑している若者をヘルプマークが無言で諭す 遅延する月曜朝は神様が促している有給休暇 買ってでもする苦労なら少しでも報われるって保証してくれ 下町をエモいとはしゃぐ十六のこころよどうかそのままであれ なも知らぬ誰かが悪いと決めつけて心に広げたチャコールの闇 出番なき言葉を集めりゃ驚きの単独首位は「あ-りがとう」ナリ 上書きができない過去に足首を掴まれ沈む贖罪の底へ 抜け出した洞穴のぞきわたしたちいつも一緒と指切りしたわ なんとなく入った本屋で買ってみた雑誌かさなる部屋のかたすみ 気圧とか天気のせいにしていてもまとわりつくの罪悪感は クレジットを無視して席を立っていたあの頃よりも大人になれた? 飽きられない方法ばかり模索する背中を向けて振り向きもせず 猫の髭を拾った朝は個人差あるけど大安吉日 ごまかせばごまかすほどに羨んで爪をかじりつ朝を迎える ひとりきり菓子パンかじり過保護とか一度は愚痴ってみたかったかも 銃声で聞こえぬ子らの泣き声をきっとあなたは夢にもみない 秒針をじっと見上げる猫の目が時間を止めてくれる気がした 白昼に捨てた普通の生き方を望んで割ったフロートガラス
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!