オトナブルーになれなかったわ

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オトナブルーになれなかったわ

 幸せを欲張るほどに失って二度と戻ってきてはくれない  輪になって浮かれる人の顔がなぜみんな同じに見えるのだろう  花筏を浮かべた川を見下ろして誘われたなとひとりごちてみる  量産型スーツばかりが列をなす駅に見かけた昔の私  心地よい寒さがあると知ったのは一人っきりのお花見でした  買い込んだ抹茶味するドーナツを片っ端から食べる日曜  艶がない三十一文字が苦手だと頭の中でメフィラスが云う  あの頃になりたかったヒーローが息子の心を惹きつけている  仕事より時計を見ている先輩を煽るように談笑をする  朝早くマスクを求め並ぶ日々を夢だったか思う今では  南方の名も知らぬ野に晒された君を待ち侘び幾年月か  楽しくもない飲み会を予約する時代はとっくに終わりましたよ?  悲しみも理不尽もみな思い出に変えられるほど優しくないから
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