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ぐつぐつ…ぐらぐら…
玉ねぎとトマトから出たたっぷりの水分が沸き立ち
鍋の中の食材がひしめき揺れる。
これだけでももう美味しい匂い。
朝の澄んだ空気と混ざる幸せの香りに頬がほころぶ。
カレーのいいところは、どう失敗してもカレーにしかならないところだ。
まるで今のところの私の人生のように。
二十代しょっぱなニートをぶちかまそうと。
木の棒を持って侯爵様とのデートへ出かけようと。
誰に蔑まれたところで、そんなことお構いなしに
なるようになるのだ。いつだって。
自分を信じてさえいれば。
なんて言いつつ、なるようになる私の幸運こそ、勇者として持ちえた最強のチートであったのかもしれない。
一度火を止め、ジャワカレー中辛とバーモント中辛のルーを半々入れ
バナナ1本のうち三分の一を叩いたものを投入する。
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