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新月へ向かう電車
リン、という音がした。
上下に規則正しく揺れる電車に眠気を覚えていたあすみはその鈴の音にゆっくりと目を開いた。自分が眠りかけていたことに気付いたあすみは電車内を見回す。
電車の中にいるのはあすみだけだった。他の人が皆降りてしまったことに気付き驚いた。それほど自分は長い間寝ていたのか、と。
そしてもう一つ気付いた。窓の外が暗いことに。月の光のない真っ暗な夜。
──そうか、今日は新月か。
あすみの乗っている電車にはトンネルを通らないので、自然とそう思った。
しかし、外の暗さは新月だけが原因ではなかった。あすみは膝の上のスクールバッグを肩にかけて窓に近づいた。
「どういうこと……?」
窓の外には地球によく似た青い球体があった。青と緑の模様が入った球体。
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