キミアレルギー

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「今日、うち来ない?」  水族館からの帰り道、電車の中で彼が言った。私は明日の朝が早い。 「シなくていいなら行く」 「ん、わかった」  電車を降りて、手を繋いで彼のアパートに続く道を歩く。この恋の消費期限はいつまでだろう。賞味期限はとっくに過ぎている。もう美味しくも風味も無い。彼が私のことをどう思ってくれているのか、確認したらそこで終わりな気がする。まずいな、と思っているのに、いざ現実的に別れることを考えると寂しさを覚えるのは、情というものだろうか。 「タマちゃん、今日夜何食べる?」 「んー、お昼に麺食べちゃったからな」 「麺食べてたっけ」 「うん、水族館のレストランのうどん」 「そっか。じゃあお肉?」 「黄海くんがステーキ食べてたじゃん。鍋にしよっか」 「いいね」  私の言うことを否定したりはしない。彼のそんなところを好きになって、今でもその優しさに触れることができるから、余計に苦しい。告白をするよりもずっと、この手を離すほうが勇気のいることだと初めて知った。
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