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卵というのは、どの食べ物にも含まれている可能性があるので、卵アレルギーの私はあまりにも生きづらい。卵料理はもちろん、スイーツ、ハンバーグや揚げ物、麺なんかも食べられない。
この苦労と苦悩は他人に理解されづらく、私の彼氏もまた、その内の一人だった。
「シュークリーム買ってきた」
「…ごめん、食べれない」
「え、なんで?」
「卵入ってる」
「まじで?これもダメなの?」
付き合って一年にもなるというのに、彼は私にてんで無頓着だ。カスタードは卵でできていると何回言えば気が済むのだろう。シュークリームに関しては生地にも卵が含まれている。
食べられないよ、スイーツはほとんど。だから買ってこないでっていつも言っていたのに。
「俺、タマちゃんともっと美味しいもの共有したいよ」
「ごめんね」
私だって食べたい。でもアレルギーは口にしたら最悪死に至るケースだってあるのだ。生まれつきアレルギーなのだから、私に非は一切ない(と思う)のだけれど、いつもいつも私が申し訳なくなる。
私だけが、謝っていた。
「卵不使用なら食べられるんだけど」
「そんなの無いよ」
あるよ、探してないだけで。"卵不使用なら"って言葉も、何回言ったか。この人の脳に記憶という機能はないのか、耳にタコができるという概念はないのか。
「あ、そういえばさ、明日休みでしょ?」
「うん」
「タマちゃんの行きたがってた水族館行こうよ」
「え…」
明日は久しぶりに晴れの予報だから、桜見に行こうって前に話したのに。忘れてるな、完全に。
「…いいよ」
ねぇ、黄海くん。もう少し、私のこと見て。
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