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… キョトン
「 あ? は ぃ … 」
ぇ … 当たった? のか …
ん?… 1万円 … か …
… ニコリ
「 … それでは では!
あらためまして!
おめでとうございます !!
1万円で !! ございます !!
どうぞ !!
お確かめください !! 」
… コトン
佐藤は カルトンにのせられた
1万円札を 不思議そうにのぞき込み …
… へ?
「 あ? …
ありがとうございます
あ の … 」
… そうか
こんな事もあるのか …
こんな日に … なのに な …
佐藤は …
ただ … ふと目に入って …
なんとなく 立ち寄って買った …
それでも? … くじが …
当たった の なら …
そんな佐藤は … この幸運 を …
… キョトン
「 … え?
ぁ … の? 」
売り場の女性が …
ぼぅ ~ っと して 立っている!
けれどそれが似合わない
佐藤のたくましいカラダの
大きな立ち姿に?
なので …
不思議そうに …
見ている と …
「・・・・」
… ん? ふぅ~ん?…
… 似合わないか? 俺 …
… ククっ!…
ぁあ … な … ら …
この1万円は?
こんないまの俺にとって …
は …
「 あ … の …
1万円で …
花束? って …
つくれますか? 」
ふっ …
… まぁ? そう だ な …
なら … このまま?
しまわずに?
使ってみる? か …
… パチクリ
「 はい? … え?
お花? の?
" 花束 ” ですか?…
あ … どなたかに?
プレゼントです?
わ! ステキですね!
その使い方も!
あり!ですね!
… はい!
ではでは ~!
かなり!大きな!
花束が!つくれる?
… ん じゃ?
ないですかぁ~ !!
ステキ!ですぅ~! 」
… パチパチパチ
そのカノジョは愛想よく!
" ステキ ” を 繰り返し …
でもそれは …
" なぜ?突然?「花束」って? "
" なんで私に? それ?訊くの?"
な …
そんな変な?佐藤だからで …
… " え? コノヒト? 大丈夫?
このカラダ! で? だって!
大きいし? 似合わないけど!
な!のに? 花束って? ” …
" なん? で? ”
… などと?
まぁ …
そこまでは思わなかったかもだけど …
その意外な?
風貌のインパクトも凄いのか?
でもまぁ … カノジョだって
これがお仕事なので …
" それ ” に!似合うようにと?
" かなり大きな花束が … ”
なんて … でも!
すかさず !!
自分が途惑った!なんて!
それは! 仕事で!
対応している相手には!
思わせない様に?
" 同調 ” の拍手で?
手までたたいてくれて …
なので?
佐藤にも負けない営業用の!
ニコニコ顔でまっすぐ!
窓口の外まで!
佐藤の方へ自分のそのような
手を差し出した …
… キョトン
「 ぃえ …
… はい
そうですか … 」
… ペコリ
なので?
佐藤もまたキョトンと …
大げさなそれに恐縮して
大きなカラダなのに?
チョコン! っと!
頭を下げると …
だよな …
おかしいかもだけどさ …
俺だっていままでは
" 運 “ なんてさ …
気にした事もなかったのによぉ …
だよなゼンゼン …
俺らしくないし?…
けど … これだって? …
らしくないついでに?
まぁ … そう? するか …
佐藤は また軽く会釈して …
そんな事を云ってしまった自分に
少し照れながら …
こんな佐藤の今日のあの出来事など
もちろん何も知らない から?
明るく対応してくれたカノジョに
それでは … と?
それで姿を変え?
大きく張った背中をカノジョに向けて
今度はちゃんと立ち去った …
… ピピ!
… カチャ
「 ふ … そうだな …
だってさ … 1万円 …
なんて … だろ?
いままで その使い方
価値? 考えた事も?
ない よな … 」
佐藤はそう …
こんな事をためらい また
不思議に思うくらい …
なにせずっとこの佐藤は …
ポケットからは?
出せない …
それほど …
スグには出せない金額の " 高額商品 ”
な!大型分譲マンションなどを扱う
業界大手の会社で働いてたから …
いままでは …
こんな 小さな?一枚の …
そんな1万円 は それほど …
ぁあ … たとえば 値引きも?
いままでは 課長の自分の仕事での
金額の調整でも100万単位だったし …
だから佐藤にとっての 1万円は …
わざわざ? その使い方を
あれこれ考える様なモノではなくて …
だから それをたった一枚?
なのに慎重に …
目の前に出されても …
カノジョのそんなシグサ …
の! 方が 驚きで …
なので
驚く額でもないけれど …
でも " 当たり ” は?
それ … は? 意外で軽いショック?
眺めてしまうほど … で …
いま …
あっさり? まんまと?
高井に撃墜されたばかりの!
ぶざまな … そんな … でも …
よそ様から観れば その姿 …
こんなに … 筋肉質な
いかつい?風貌では …
見た目ではわからないけれど!
でも … 本人からしたら …
傷ついてる弱者で敗者な者としては …
なんて … と …
それを …
自分のモノとして?
自分のモノを買う? のは …
すぐに手を出す事も 躊躇われる
くらい 弱気で謙虚? で …
不相応? だから? …
ふとまた! 頭の中に出てきた
それ … マリン … に? と?
でも実は それ …
" 花束 ” ではなかったけれど …
ぁあ … だって!
なにが良いんだぁ~?
ゼンゼン判らないだろ …
そんなの …
だろ? 急に だぞ …
なんとかしてやりたい って!
思ってる 俺にだって さぁ ~ …
これほど … 佐藤が …
思ってる …
それほど …
マリンを …
捲き込んでしまった … と …
―
「 … そうだな …
ヤツは そのために
支店長たちに なにかを
云ったことになるな … 」
「 … はい 」
「 … だな … 」
「 だったら … 」
「 … ん !
ヤツは、無駄な動きは
しないだろうし …
その事でこれを?
使おうと動いたなら …
事件になる
前に知っていたのに
そのまま …
前社長には暴走させて … 」
「 はい …
事件になる前に …
あの取引を …
止められたのに!
止めなかった …
って 事に なります …
そ・の・た・め・に … 」
「 … ぁあ … 」
「 だから これ … 」
「 ふ … 」
佐藤は初めて口角が上がった …
「 高井社長を … 」
「 ぁあ … 」
ふたりは、
お互いを見つめ合った …
「 ん … だが …
これを使う … と … 」
佐藤は
途端にマリンから目を逸らし …
?… え ? …
マリンはそれに … 一瞬で!
哀しそうな心配顔を魅せたが …
「 … う !
ん … 」
佐藤は
スグに気づいた …
「 … あの ? …
課長 ? … 」
「 ん … お前を
捲き込むんだな … 」
マリンは
ハッ!として眼が大きくなった …
でも …
それは …
自分のことを考えたのではなく!
佐藤が!
自分のことを考えてくれたのが!
嬉しかったから …
だからこれに !
佐藤のこんな気持ちに !
… ちゃんとお応え
しなきゃ …
… なのでマリンは迷わずに
「 … いえ
私が自分で動いたん …
です
勝手な事をして!
申し訳ございません 」
「 … い … や … 」
佐藤は
マリンを引き寄せ …
―
だから …
高井からだって 佐々木からだって
人から謂われなくても!
ほんとは分かっていた 自分が!
あんな … 勝ち目のない悪あがきに?
なのに! 捲き込んでしまった!
その! 今回の事!
自分が マリンを動かさなければ …
マリンはこれからだって …
あの会社でだって …
十分! …
それほど …
あの会社の社員の …
ひとりとして
カノジョを 見れば …
高井だって認めていた …
それほど優秀だった …
そう! でも そうだった と …
佐藤だって …
そんな事 … を … も …
考えてたから …
だから …
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