可南子の桜

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 両親が祖母に退院後は自宅に戻らず、施設入るように話をしてから、祖母の生気がみるみると薄れた。  と、私が感じただけなのか?  いや、実際に施設に入所した後、ほんの数ヵ月で体調を崩し、再び入院となった。  病院のベッドで寝たきりの祖母の体には、様々な医療機器から伸びるチューブやコードが絡みついていた。  言葉も話さず、  食事も取れず、   虚ろな目を天井に向け、  ただ、生きていた。  あの年老いた薄墨桜のように。
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