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終点の駅の山里に父方の祖母の家があった。
祖父は可南子が生まれて間もなく亡くなっていて、可南子には残念ながらこの祖父との記憶が無い。
都会のマンション暮らしであった可南子にとって、山里の自然に囲まれた日本家屋の祖母の家は、何もかもが新鮮で、なのに不思議と懐かしさや温もりがあった。
長期の休みには親元を離れ、可南子は祖母と一緒にこの地で生活をしていた。それほど、祖母とこの家が大好きだった。
夏休みは畑の収穫の手伝いや川遊び、集落の盆踊りや小さな花火大会、アニメ映画でみた蚊帳の中で寝るのもワクワクした、
冬休みにはお餅つきや消防団や青年団の出初め式、
囲炉裏や竈で祖母と一緒に作る料理、
青年団の人たちが用意してくれた薪をくべたお風呂、
父や母からしたら、不便極まりない生活も可南子はどれも楽しかった。
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