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小学校が春休みのある日、可南子はいつものように祖母の家に来ていた。
「かなちゃん、今日は桜の樹を見に行こうか?」
「桜?」
「かなちゃんがいつも見てる桜よりもうんと大きな桜の樹なのよ」
「そんなに大きいの?」
「うん、ものすごく大きいわよ」
祖母が大きく手を開いて、体全体で大きさをアピールしているのがちょっとおかしくて、そして楽しい気分が弾けたのを思い出した。
そして、祖母と手を繋ぎながら、初めて目にしたその薄墨桜の大きに可南子は圧倒された。
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