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光輔の思いやり
あれから光輔は頻繁に家へ来るようになった、仕事が終わったら二人で夕食を囲み、たわいない話をして帰る。
日曜は植えた花の様子を見に来たと言い、庭でお茶をした後はランチを食べに出かけ、スーパーで買い物をして夕食を共にして帰宅する。
光輔がいつ来るか決まっているわけではないが、常に二人分の夕食を準備するようになった。
来ない日の夕食は翌日のお弁当のおかずになる、光輔が来ることで一人の夜を寂しく思う日もなくなった。
あの夜光輔に逢ったのは幸運だった、もしあの夜自分の寂しさを紛らすために知らない誰かと夜を過ごしていたら………今頃自分は自分を許せなかった。
光輔の優しさと思いやりが心にしみた。
祐月のドラマもいよいよ最終回に近づいてきた。
撮影もそろそろ終わるだろう、終わったら直ぐに帰ってくると言った。
その言葉を信じて、3ヶ月の長い夜を一人で過ごした。
ドラマの評判もよく、高い評価を受けている!
祐月がまた一つ成長した。
嬉しい様な寂しい様な複雑な気持ちになる、好きな人の仕事が充実すればするほど、一緒にいる時間は減り、会えない夜も増えていく。
それでも信じていれば大丈夫なのだろうか?
大勢の人に取り囲まれて、多くのファンに見られ、好きな人が他の人のものになる時間が増えていく。
役になりきり、相手役を本気で好きになると言った祐月!
仕事と自分とどっちが大事?などと馬鹿な質問をするつもりはないが、自分の存在が仕事の次なのが少し不満だ。
あと少ししたら、祐月から電話が来る。
3ヶ月待った祐月の声が聞きたい。
祐月のことを思うだけで身体が火照り出す、早く自分の元へ帰って来て。
早くこの熱を覚ましてほしい。
逢えない恋人をひたすら待つ、その時間が一日一日と減っていく。
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