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「何で?」
頭の中はごちゃごちゃで余裕なんてない。
気にしたくはないのに何度でもリピートされる先生の言葉。
大丈夫だと思うのに、不安になる弱さ。
せめて身体を繋げて安心したかった。
指摘された通り最近シていなかったのは事実だから。
「お前、何焦ってんの?」
さすがに何かを感じ取ったのか、俺の背中を擦りながら聞いてくれる先輩。
「先輩はシたくないんですか?」
「そういう訳ではないけど……」
「じゃあ!」
食い気味に顔を寄せると、またバチンと顔面を叩かれた。
「大事にしてぇの!」
「は?」
ヒリヒリする顔を押さえることもできず間抜けな声が出る。
「タクはずっと大事にしてきた後輩で……正直、まだ“付き合って”んのか“後輩”か……は曖昧な時もある」
素直な先輩の言葉に少なからずショックを受けた。
でも、先輩の顔は真っ赤で……俺の頬に触れてくる手は優しくて……やっぱり愛おしいと思う。
「……好きだよ」
「え!?」
「“好き”か“嫌い”か、なら迷わず瞬時に断言できる」
「そんな究極の二択で……喜べないですよ」
一瞬喜んだのに、ガックリと項垂れてため息を吐いた。
「……だーかーらぁっ!!お前とは絶対離れたくねぇの!」
グッと両頬を掴まれて無理矢理目を合わせられる。
思いっきり耳まで真っ赤になっている先輩。
目を閉じてキスを強請ってみると、それはすぐにしてくれた。
チュ、チュと軽く合わせてからゆっくりとしっかり押し付けられる唇。
こんなの……離れられない。
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