乾太一4

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 そんな面倒なものを求めない女子高生は俺には後腐れがない。彼女たちからしたら、俺は勝手な大人かもしれないが、現在のこの住みよい環境を作ってきたのは、紛れもなく俺たちなんだ。だから、彼女たちに少しばかり手を出したからといって、後ろめたい気持ちになるのはおかしい。俺は最近、そう考えるようになった。  俺は出会い系サイトに登録をしていたが、まだ一度も利用したことがなかった。携帯一台で見ず知らずの女子高生と会話ができ、会うことができる機器とシステムはまさに、人にとってはパンドラの箱だった。  俺はその夜、ある女子高生とサイトを通じて会うことになった。歳は十六。カラオケに連れて行ってとの内容。写真はプリクラで撮ったものなのか、ぼやけているが、ルックスは中の上というところだ。  俺は指定されたファーストフード店に出向いた。今夜は接待で遅くなると家内に伝えてあるので、時間の心配をする必要もない。  それに、懐も臨時収入のため、温かい。金も時間も俺の自由だ。やはり、人生は耐え忍ぶべきだ。必ず、いいことがある。  少女と会って、カラオケに行くことがいいことか?現在の俺にとっては、ラッキーなことだ。こんなくたびれた中年男を相手にしてくれる少女は、携帯の中で息づいている。  約束の時間に到着した俺は、周囲を見回した。目印は制服の胸元につけたクマのワッペンだ。その目印だったら、他の女子高生と被ることはないだろう。  店内は女子高生たちや、若者で賑やかだった。ファーストフード店など、俺はあまり利用しないので、戸惑いはあったが、逆に新鮮な気持ちにもなれた。若い頃にもう少し、遊んでおけばよかったかなと思う。日々、仕事に追われて立ち止まると、俺は職場と家庭の狭間でもがいていることに気づく。  目当ての女子高生がやって来た。胸元には可愛らしいクマのワッペン。俺は椅子から腰を浮かしかけた。逸る気持ちが抑えられなかったわけではない。彼女を知っている。そのことに愕然として、俺は中腰のまま固まった。
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