乾里穂4

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乾里穂4

 私は悪い女子なのか?親友の淑子と宮崎くんの橋渡しを請け負ったはいいが、思わぬ展開に私の脳みそは爆発しそうだ。  私は親友を裏切る形になった。クラスの中で一番信頼されている親友に裏切られるなんて、マッチ売りの少女よりも哀しい。  突然の告白。前触れもなく、やって来た嵐のようだ。その嵐は森の樹をなぎ倒すように、私の心の善の部分をなぎ倒す。  あの突然の雨に見舞われた屋上での淑子の笑顔。一度は疑念を抱いたが、私が白を切ると、そのまま鵜呑みに淑子は信じた。  淑子が私を信じるという行為が、私の罪悪感を助長する。私はやっぱり悪い女子だ。白雪姫に毒リンゴを食べさせた魔女並みに。  手の汗は雨に濡れたと誤魔化した私は、本当に嫌気が差すほどの悪い女子。このままではいけない。  宮崎くんとKストリートを歩いて、近くのファーストフード店に入り、いっしょに食事をした。それは世間的には悪いことではない。だが、淑子にとっては最大の悪事。  おまけに、宮崎くんに好きだと告白された。その時の私は天にも昇る気持ちになった。淑子だけではなく、私は校内の女子全員に、優越感を覚えていた。  このまま、淑子に隠し立てしたままでいいのか?誰に相談すればいいの?思い当たる人は一人しかいない。お母さんだ。  母親は私みたいな経験をしたことがあるだろうか?もし、あったら的確なアドバイスをしてくれるかもしれない。
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