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プロローグ 柏原淑子
ファッションモデルとしてランウェイを歩く日々。
色とりどりの衣装を着て、カメラマンや観衆、業界関係者を睥睨しながら闊歩することが許された職業である。私には天職だった。だって、私には身長もあるし、手足だって長い。それに人には負けない美貌がある。
私がモデルになるために生まれてきたのではなく、神様が私をモデルにするために母親に産ませたという表現が適切か。
ランウェイは私の前途を照らす道しるべだ。私はぶれないで歩けばいい。
真っすぐ。横道に逸れることなく。だが、人生はそんなにすんなり事が運ばないことは分かっている。ランウェイからはみ出して舞台から落ちたモデルは、もうモデルとして扱われない。
私はランウェイの先端で腰に両手をあて、彼方を睨む。その方向に未来への扉があると信じて。
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