1 第一章プロローグ

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1 第一章プロローグ

この数百年で人間は大いに発展を果たした。 大昔の人間が抱いていた夢など、狩りの成功や無事に赤子が産まれてくる事程度だったというのに。 今や我々には到底想像し得ない物ばかりを創造し、大きな箱に乗って宇宙にまで飛び出すというのだから、…笑えない。 その創造が、築き上げた文明が、もし…、もしも人間の、地球の生物の為に使用されていたのなら… 私はきっと、甘んじて受け入れただろう。 その想像の、創造の、副産物たる犠牲を。 それもまた等しく、我々の学びだからだ。 カツン… カツン… カツン… だが貴様等人間は、置いてきてしまった。 人間として生まれた責務も、目的も。愛すらも。 己の魂を著しく貶めることに美学を感じているのかと勘違いする程に、貴様等は碌でもない生物と成り果てた。 現実を物質と勘違いし、視界に映らぬ存在を無と決め付け、同じ人間でありながら生まれた場所や肌の色程度の微細な違いで糾弾し、追い出し、殺し合う。 社会は人の為ならず、誰が為の統治かも分からぬ始末。 金というただの物質交換ツールをこの世の全てと思い込み、無償で愛を持って支え合う事を恥とした。 なん…て、矮小な存在なのか。 カツン… カツン!  ヴン… もう貴様らの夢に殺されるのは、…御免だ。  紫色の空間の中、男は大きな鏡に手を伸ばした。 縦長の大きな鏡に爪先が当たるやいなや、鏡はグニャリと歪み、世界を繋いだ。 ……さあ。 終わりにしよう。  男はゆっくりと顔を上げ、目蓋に甦った光景に陶酔するように目を閉じた。 咲き乱れる花々の中を踊る美しい笑顔の女性をその腕に抱き、唇を重ねる……過去の光景に。 「…案ずるな地球の民よ。 貴様らだけで逝かせはしない。」 ◯ファンタジナ第一話を読んでいただきありがとうございました! ってまだプロローグで何も分かりませんよね~! それに『お前誰だよ』って感じですよね? ですがご安心下さい。ちゃんと判明します(笑) このプロローグの台詞の理由は後々判明していきますが、この作品にとってとても重要な台詞がぎっしりと詰まっています。 できればその理由に辿り着くまで読んでほしいです! なので誠心誠意がんばります!!ので、どうぞよろしくお願いします♪ それでは本編スタートです。 もし良ければ★フォロー頂けるととても励みになります! 勿論コメントも随時募集中です! 今後とも、ファンタジナをよろしくお願いいたします♪
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