第1話【魂の選定】

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道枝と夏目がそんな話しをしていた頃…隠り世中枢部にある流鶯街と言われる地域では…桜が満開にその実を開かせていた。この流鶯街は死した者たちが生きる楽園の1つであり…生前にある一定の善行を重ねた者だけ住んでいる。 そんな街に静かに佇む大きな屋敷が通称「逕庭門」と言われる隔たりを持つ世界へと繋がる唯一の鳥居へと繋がる…三柱の一柱である。ここには遥か悠久の時代から…藤之鷹司宣蛆と言われる宮司が住んでいる。 宣蛆の仕事は主に2つあり…1つは祭事である。そしてもう1つが隔たれた世界とこの隠り世を繋ぐ架け橋になる事である。 隔たれた世界の向こう側には…現世とは似て非なる世界が続いており…隠り世と現世の中間に位置する隠り世とも現世とも言えない第三の世界である。一節には…転生させる事もできない魂が辿り着く最果ての地とも呼ばれており…そこに足を踏み入った者の多くがこの隠り世から消息を経っていると言う。 そしてその流鶯街に今年…とある若者の魂がやって来た。青年の名は「高木栄昇」生前の彼は…普通の高校に通い…卒業後に大学へと進学した。 普通に暮らし…特につまずく事もなく人生という名の階段を駆け上がって行き気付けば…その土地でも知らぬ者はいない富豪となっていた。 そんな彼が何故?この流鶯街に来たのか?それは彼がまだ幼かった頃に起因する。彼の本当の父親である二条家次期当主「二条達也」と「道枝」との間に交わされたとある約束に基づくものである。 数十年前…隠り世にあるとある三軒茶屋でのこと ??「道枝くん?今日もどうだい?」 道枝「あっはは(笑)!!!?遠慮しておきますっ」道枝がそう言って談笑していると1人の男が…彼の前を通り過ぎる…。 ?「はぁ…どうして?俺はこんなところに来たんだ?」 ?「すいません!!!?そこのお方!!?」 道枝「ん?僕ですかっ!!?何でしょう?」道枝はそう言うとニッコリ笑う。 ?「ちょっと道に迷ってしまいまして…ここが何処だかわかりますか?」
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