第1話【魂の選定】

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暫く辺りを見渡した二条は…スマホを手に取る。時刻は…朝の10時。いつもと変わらない時間だった。この頃の二条は…都内にあるマンションで1人暮らしをしており…実家のある京都から離れて大学へと通っていた。 二条達也「やべぇっ!!!?遅刻だ!!?」二条はそう言うと…慌てて準備をして衣服を着用し始める。時代は平成から令和へと変わった時代の上半期。 後にこの国の天皇になる悠仁親王がまだ天皇陛下になられていない時代。ここだけの話だが…二条達也には前世の記憶がある。 前世では…平凡な家庭の4人兄弟の末っ子として生まれて小学校1年~小学校6年までの6年間…殆ど勉強をしなかった。そのことが祟ったのは中学生になってからで…中学1年から高校3年までの6年間…盲学校という所で勉学に励み…日常生活に必要な知識を詰め込んだ。 この時の人生で上手くいってたのは高校を卒業してからの数年間だけで…その後…就職氷河期を迎える事になる。一人暮らしのマンションの天井を見ながら毎日目覚めては…勉強をしなかった小学生時代を後悔する日々が続いた。 その前世の記憶があった俺は2回目の人生ではスポーツ等二の次においてとにかく勉学に励んだ。友達を作らずに勉強して勉強して勉強して…大学へと進学した。二条はそんなことを思い出しながら…パンを口に加えて…マンションの扉を開ける。 マンションの廊下から拭き上げる風は…眠気眼の二条達也の眠気を飛ばすのには充分だった。それから数十分後…二条は電車へと乗り込んで…港区内にある大学への道を只管に突き進んだ。 不意に電車のアナウンスが鳴り響き…次は田町…次は田町という声が二条の耳に響き渡る。 二条達也「やっとか?」ポツリとそう呟いた二条は…電車を降りて田町駅から徒歩11分の所にある大学へと目指す。 二条のその動向を遠目で見守る…少年は一言呟く。 ??「なるほど?君は大学生だったのか?」 ??「一寸童子!!?」 一寸童子「あいよ!!?ダンナ!!?俺に何か用ですかい?」 ??「あぁ少し頼まれてくれないか?」そう言うと…少年は一寸童子の耳元でとあることを呟く…数秒後…一寸童子は「わかりやした」と一言呟くと霧になってその場から姿を消した。
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