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「……俺は抜け忍でな、生まれ育った里の祖先は元々大陸から渡ってきた魔導士だ。その闇の魔力でこの島国を我が物にしようと企てたが……戦に敗れ、忍びの道に入った。俺の巨漢も異国の血の名残」
「くっ、分が悪くなってきたわね、ここはひとまず退くとしましょう」
「もう遅い……」
「なにい? う——、体が動かない」
カーミラは闇夜に飛び立とうとしたが、金縛りにあったかのように身動きができなくなっていた。
いつの間にか玲空桜の枝がカーミラの体に絡みつき、離すまいと手足を縛り付けていた。
「その呪木に見染められたのが運の尽き。誰もその呪縛から逃れることはできない。年貢の納め時だ」
桜典はすらりと四枚のペインテンナイフを指先に揃えると、最後の一言を呟いた。
「成敗——」
ナイフが投じられると、それは鉄杭となってカーミラの腕と足を撃ち抜き、磔にされた吸血鬼から垂れる朱色の染料が、玲空桜の画布を赤く染めた。
奇異忌諱という蝙蝠の喚き声が、どこからともなく聞こえてきた。
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