13人が本棚に入れています
本棚に追加
剣聖の決断
その日、大島秀一郎は眠れなかった。すべては日中、会社での出来事が原因だ。竹ノ内が去った後、午後からは全く仕事が手につかず、心ここに在らずという状態だった。残業したところで仕事に身が入らないので、定時で上がらせてもらい、稽古も休んだ。こんなフラフラな精神状態では、稽古においても実力を発揮できないし、真剣に打ち込んでいる者に申し訳ない。
マンションに帰ってきたはいいが、スーツ姿のままベッドに寝転んだままだ。さすがに暑さと怠さを覚え、ジャケットを脱ぎ、冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出した。
ソファに座り直して、テレビを点けはしたが、特に何かを観たいわけではなく、とりあえずはバラエティー番組を流す。おでこにペットボトルを当てて、日中に竹ノ内が言ったことを思い出した。
『大島さん、あんた、もう剣道をやりたくないんじゃないのか?』
図星だった。だからこそ、言い訳がましく否定しなかった。もちろん、それを口に出したことは一度もない。俺の心にずっと閉まっていたものだ。
いつだったか、俺は剣道を純粋に楽しめなくなっていた。いや、剣道における勝負に熱を注ぐことができなくなっていた。
剣道を始めたのは中学生からだった。それまでの俺は特にスポーツをやるような活発な子供ではなく、どちらかと言えば家で本を読んだり、映画を見ているような少年だった。通っていた地元の中学は、公立校でありながら、全生徒必ず部活動に所属しなければいけない決まりがあった。おそらく、高校受験における内申点対策の一環であろう。
当然、俺は部活動選びに迷った。これまでろくな運動経験がなかったので、野球やサッカーは練習についていけないのがおちだ。文科系の部活も、興味をそそるものがなかった。部活の体験入部期間が終わりに近づき、そろそろ入部届を記入し提出しなければいけない時、冷やかし程度に立ち寄った剣道部で竹刀を握った時だった。何かが俺の中を熱くさせた。そして、想像できた。竹刀という刀を手に、強者とギリギリの一線で切り結ぶ戦士としての自分が。妄想や中二病に罹ったわけではない、その時悟ったのだ。
俺は戦いを求めていたのだと。剣道の作法やルールなどろくに知らないまま、竹刀を握ったその日に入部届を提出した。その時は、こういう感情は思春期の男であれば、誰もが持つものだと思っていた。しかし、高校生になっても、大学生になっても、この感情は治まらなかった。以来、俺は今に至るまで、剣道という土俵で戦い続けてきた。
剣道は好きだ。しかし、それ以上に強者と戦い、それに打ち勝つという、ある種の快感が好きだった。その快感は、俺にとってはセックスで射精した瞬間よりも、遥かに気持ちよかった。だが、それを話したところで、誰も共感してくれないだろう。逆に気味悪がられるのがおちだ。
このことは、恋人である安藤玲にも話していない。俺を健気に想っていてくれているであろう彼女も、俺が純粋に武道として剣道を嗜んでいると思っているだろう。今俺にとって、心から信頼でき、どんなことでも打ち明けられる存在といえば、彼女だけだろう。
だが、言えない。話したところで、俺の熱き戦いを求める心など、彼女は理解してくれないだろう。いつも温かい眼差しを送ってくれる彼女も、俺に対して冷めた目を向けるかもしれない。
孤独な剣士の心を、一人の男は、竹ノ内晃司は見抜き、理解してくれた。竹ノ内に剣道の情熱が冷めきっていることを指摘された時、大島は正直嫌な気はしなかった。むしろ、喜びに似たような感情さえ覚えた。やっと理解者が現れたと。
竹ノ内も、俺と同じ種類の人間なのかもしれない。剣道とプロレスという、全く違う世界でも、同じ戦ってきた男として、俺に通ずるものを感じたのかもしれない。
彼も孤独だったのかもしれない。だからこそ、俺と出会って涙を流したのかもしれない。本当は俺も泣きたかった。竹ノ内と一緒に泣きたかった。
やっと、同志(とも)と呼べるような人間に出会えた気がした。
テーブルに放り投げていた名刺ケースから、竹ノ内の名刺を取り出した。強面で、いかにもプロレスラーといった風貌の男だが、その目は純粋そのものだった。
もっと早く、竹ノ内と出会いたかった。
だったら俺は剣道を捨ててでも、あの男に付いて行き、戦いを求めただろう。だが、今の俺は剣道界で有名になり過ぎただけではなく、会社で安定した地位にもいる。恋人の安藤玲とも、お互いに口に出したことはないが、いずれは結婚するのかもしれない。少なくとも今後、彼女以上に素晴らしい女性と出会えるとも思えない。
プロレスラーになるということは、それら全てを捨てることになるのだろう。冷静に考えれば分かることだ。二〇代後半になって、漫画のようなことは言ってられない。大企業で謙虚に働きつつ、謙虚に剣道をしていれば、おそらく今後も安全な人生を歩めるだろう。
それら全てを失ってまで、プロレスラーになるなど、気の迷いもいい所だ。
だが、何だろう。この胸を、俺の身体の内側を燃やし尽くすような熱は。おでこに手を当ててみたが、全く熱は感じられない。汗も噴き出ていない。じゃあ、この燃え滾るような感情は何だ。
今日、竹ノ内に会ってからだ。あの男が、消えかかっていた俺の中の蠟燭に火を点けたのだ。それも、ちょっとやそっとの風などでは消すことのできない、激しい炎を。
戦いたい。あの男の元で。俺は。
どうやら、俺は一度熱すると止まらない性分のようだ。
ソファから立ち上がり、壁に立てかけてある素振り用の竹刀を手に取った。それを、頭部の上に掲げ、上段に構えた。幸いにも、このマンションの部屋の天井は高めに設計されており、照明に直撃する心配はない。
この部屋には現在、大島以外に誰もいない。だが、大島には、はっきりと見える。いや、視覚的には見えていない。だが、戦う男の目にしか見えないものが。この世にはある。
俺が戦うべき相手は、お前などではない。見えない敵に、大島は心の中で吼えた。まるで、自分自身の葛藤や、わだかまりを断ち切るかのように。
俺が戦うべき男たちは、遥かリングの上にしか存在しない。
「はああああああああああああああああ」
迷いを断ち切り、新たな道を開くつもりで、大島は竹刀を上段から打ち下ろした。
心は決まった。もう、後戻りはできない。戻るつもりもない。
※
「何だ、これは?」
差し出しだされた一枚のA4用紙を見た、部長の時田は、よく日に焼けた顔を厳しいものに変えた。会社のパソコンに、テンプレートとして保存されている「退職届」を、今朝印刷し、自分の名前を記入し、捺印した。
「退職届です。本当に勝手で申し訳ございません。今年いっぱいで辞めさせていただきたいです」
「そんなこと見れば分かる。どうしたんだ?いきなり……」
退職届と大島の顔を何度も見比べる時田の顔は、驚きの色を隠せていない。大島の所属する部署のボスである時田は、いかつい顔と体格とは裏腹に、穏やかで気さくな性格の上司だ。どんな時でも、部下を気遣うことを忘れず、仕事のできない社員でも大切にする上司の鏡のような人間だ。大島自身、時田のことを心から信頼し、仕事で行き詰った時は、いつも彼に相談していた。
そんな上司の鏡のような男でも、突然渡された退職届には、怪訝な色を示した。大島は、剣道で培った綺麗な背筋で頭を下げた。
「一身上の都合……としか言いようがありません。勝手を言ってるのは、重々承知の上です」
「……外で話そう」
頭を下げっぱなしの大島に、時田は周りをきょろきょろと見回した。部署内で仕事をしている人間が、心配そうに大島と時田を眺め見ているのが分かる。時田の提案に、大島は頭を上げて頷いた。
「何で辞めたいんだ?」
自販機で買った缶コーヒーを大島に差し出しながら、時田は煙草に火を点けた。幸いにも、喫煙ルームには誰もいなかった。
「すみません……一身上の都合としか」
礼を言って缶コーヒーを受け取った大島は、先ほどと同じことを、申し訳なさそうに言った。
「何が一身上の都合だ?お前、俺を舐めてんのか」
二人きりの喫煙ルームで語気を強める時田を、大島は真っすぐ見つめた。時田がこうして声を荒げる時は、部下を本気で心配している証拠だ。だからこそ、大島は心が痛んだ。
「プロレスラーになるため、会社を辞めます」などと、馬鹿正直に言うわけにはいかない。もし言ったとしたら、仕事一筋のこの上司の鏡は、「気は確かか?頭を冷やせ」と退職届を突き返すか、デスクの引き出しに閉まっておくに違いない。
「いえ、決して軽い気持ちではありません。私なりに、よく考えた結果です」
もう一度、頭を下げる大島を、タバコを咥えた時田は厳しい目で見ている。
「仕事上で何か悩みでもあるのか?」
「いえ、特に仕事上では問題はありません」
無論、日々の仕事において、全てが順調というわけではない。しかし、今そのことを話せば、時田は真摯に相談に乗ってきて、大島の退職願を何としてでも取り下げようとしてくるだろう。
「じゃあ、なぜ?」
「……他に、やりたいことが見つかりました」
どこか悲しそうな目をした時田に、大島は遠慮がちに答えた。かなり曖昧な返答だが、決して嘘ではない。自分自身の本心を厳密に表せば、「やりたい」ではなく、「やるしかない」と言ったほうが適切かもしれない。
時田の顔を見て、大島は目を背けたくなったが、頑として堪えた。それが、世話になった上司に見せられる、今の大島なりの誠意だった。
「剣道……よりか?」
目線を大島から窓に移した時田は、煙草を咥えながら尋ねた。
やはり、分かっていない。当然といえば、当然か。この会社の人間は誰しも、大島が剣道に生き甲斐を感じていると思っているようだ。確かに、かつては生き甲斐に似たようなものを見出していた。だが、それは「剣道」そのものにではない。
窓から見える丸の内の景色を眺める時田に、大島は拳を握りしめ、鼻から静かに息を吸った。
「はい」
静かな、だがどこか熱を帯びたその一言に、時田は煙草をすり潰し、大島の目を見据えた。しばらく、時田はその引き締まった目で、大島を無言で見つめていたが、やがて口元を軽く緩ませた。そして、軽く頷いたのだった。
※
できる限りコンパクトにまとめたつもりだが、それでも段ボール五つになってしまった。会社を今年いっぱいで辞めることが決まり、この部屋に住む意味もなくなった。家賃十二万という、同世代では高収入の部類に入る大島でも、男の一人暮らしには少し高いなと思っていた。それにプロレスラーになると決めたからといって、すぐに金が入ってくるわけでもないだろう。したがって、当分は無職状態であることを覚悟しなければならない。
だとしたら、こんな部屋に吞気に住むわけにはいかないし、必然的に生活水準も下げなくてはならない。
すっかり広くなってしまったリビングにあぐらをかきながら、ボトルの炭酸水を一口飲んだ。引っ越し作業で疲れた身体に、強炭酸が染み渡っていくような気がした。
リビングの片隅には、面、小手、胴、垂が入った防具袋と、これまで数々の強敵と切り結んできた竹刀が入った竹刀袋が立てかけてある。大島は立ち上がり、それらを丁寧に、優しく撫でた。
「俺がここまで強くなれたのも、お前たちのおかげだ。ありがとう……そして、すまない」
おそらく、会社を辞めた後、今後もう身に纏うことでないであろう戦士の鎧と、刀に大島は想いを馳せた。剣道のおかげで、俺は強くなれた。そして今、俺は剣道よりさらに強者たちのいる世界に踏み込もうとしている。
退職願の旨が受け入れられたその日、剣道部の監督にもそのことを告げた。会社を辞めること、すなわち剣道も辞めるということになる。大島は会社の看板選手ではあるが、仮に辞めたからと、日本有数の大企業である「北村商事」の経営が傾くことはあり得ない。
監督の宮崎は、退職の件を相変わらず厳しい顔つきで聞いていたが、「今までお世話になりました」と頭を下げた大島に、「そうか」と一言だけ呟いた
「今年いっぱいは会社にいるんだろ?」
「はい」
いつも通り「剣道」の鬼のように鋭い宮崎であったが、その引き締まった目元をやがて緩ませた。
「だったら、それまではよろしく頼む。残り僅かだが、後輩たちをしっかり指導してやってくれ」
「監督……」
宮崎のこんな表情を見るのは初めてだった。その顔は優しげで、息子の成長を喜ぶ父親のようだ。宮崎は分かっていたのかもしれない。大島が虚しさを抱えながら、剣道を続けていたことを。そして、それに区切りをつけ、新たな舞台に踏み出そうとしていることを、宮崎は察し、喜んでくれているのかもしれない。
宮崎の顔を見つめているうちに、大島は目頭が熱くなっているのを感じた。
「新しい場所でも頑張ってくれ。お前が今以上に、活躍するのを楽しみにしているよ」
「師よ……」大島は心の中で、この恩師に礼を言い、そして詫びた。
元々生活感のない殺風景な部屋だったが、物が無くなると余計に寂しく感じる。ミネラルウォーターの段ボールを机に、マックブックを開いた。大手不動産会社の情報サイトにアクセスし、マウスをスクロールさせながら、賃貸物件を流し見た。近日中に次の部屋を見つけて、ここから立ち退きたい。
竹ノ内のプロレス団体は、確か南千住にあるといっていた。北千住には何度か行ったことはあるが、南千住駅に降りたことは一度もない。サイトの検索システムに、「南千住」と打ち込んでエンターキーを押すと、二万七千件ほどの賃貸アパートがヒットした。家賃・管理費が高いものは三十万以上するが、安い部屋であれば二万円ちょっとの物件もある。しかし、安い部屋は風呂どころか、トイレも水道もない。さすがに、安いからといって、こういう所に住む気にはならない。
大島は、ユニットバス付で家賃六、七万程度の部屋をいくつかお気に入り登録して、サイトを閉じた。ユーチューブを開いて、「プロレス」というワードで検索した。ページの上位に、新日本プロレスリング株式会社の公式チャンネルがある。チャンネルの動画を適当に開くと、両国国技館であろうか、観客で埋め尽くされた会場の花道を、金髪を揺らしながら、その筋骨隆々とした身体にベルトを抱えた男が、自身に満ち溢れた表情で入場してきた。
棚橋弘至。プロレスに疎い大島でも知っているプロレスラーだ。よく、民放のクイズ番組にも出演していて、「百年に一人の逸材」と呼ばれている男だ。残念なことに動画はダイジェストのようで、試合の全部を見ることはできないが、レスラーたちが各々の技を繰り出している様が映し出されていた。相手の顔面にラリアットをかましたり、美しいフォームから繰り出されるトラースキック、リングのコーナーから自らの身体を相手に叩きつける飛び技等。それら一つ一つの動きが、大島には新鮮かつ、刺激的に見えた。
俺もこんな技を繰り出して、戦うようになるのか……。五分足らずの動画だったが、大島の心を熱くさせるには十分だった。他の動画も見てみようと、ユーチューブ内を漁っていると、ピンポーンと間抜けなインターホンが鳴った。特に何か注文した覚えもないので、新聞の勧誘か何かだろうと、居留守を決め込もうとしたが、ピンポンピンポーンと連続してインターホンが押されたため、大島は怪訝な顔でドアのほうを見た。
誰だよ。乱暴な訪問者に、大島は僅かに苛立ちながらモニターを見ると、そこに不機嫌な顔をして、ドアの前に立っている安藤玲が映し出されていた。
安藤がなぜ部屋の前までやってきたのか、大島自身が一番よく分かっていた。
「どういうこと?」
正座を崩した姿勢で、安藤は凄むような視線をぶつけてきた。形ばかりのインスタントコーヒーを入れて差し出したが、安藤は全くといって口をつけていない。
「ラインで送った通りだよ」
「本当に辞めるの……?会社」
「ああ。もう、退職届も人事部に通してある」
大島は淡々と答えながら、自分用にも入れたコーヒーを口にした。そんな大島を、安藤は凛々しい目で睨みつけている。
「何で……?」
大島は黙ってマグカップに目を落としている。何を言っても、安藤は分かってくれないだろう。
「会社で嫌なことでもあったの……?だったら、何で相談してくれないの?」
「いや……そういうわけじゃない」
安藤は大島を睨んではいるが、その目は微かに潤んでいる。心から案じてくれているのだろう、だからこそ大島は心が傷んだ。だが、後戻りはできない。
「じゃあ、どうしてよ?」
「他にやりたいことができた」
問い詰めるような安藤の視線に、大島はぽつりと呟いた。目は合わせず、彼女の足先をぼんやりと見つめた。すらりとした綺麗な足に、黒のストッキングがよく似合っているなと、場違いなことを考えてしまう。
「それは今の仕事よりも重要なこと?秀一郎にとって、剣道が一番やりたいことじゃないの?」
安藤の足先から、彼女の目に大島は視線を映した。
「剣道じゃだめなんだ。剣道では」
君には分かってほしかった……一番大切な人は誰か?と問われたら、迷うことなく安藤の名を出すだろう。そんな大切で愛おしい女性(ひと)だからこそ、安藤には心の底を理解してほしかった。
「じゃあ、私たちの今後はどうなるの?」
結婚のことを言っているのだろう。二人の間でその手の話題が上がったことはないが、お互いにどことなく考えてはいたはずだ。もし、安藤が本気で大島との結婚を考えているのならば、申し訳ないが前向きな回答ができない。俺は最低な男だ。そして、恋人失格だ。
「ごめん……今は考えられない。とにかく俺は、今そのことで頭がいっぱいなんだ」
「まさか、バンドとか言うんじゃないでしょうね……?」
安藤の大島に対する気持ちが、怒りに変わっているのがよく分かる。真一文字に結んだ唇が微かに震え、膝に置いた両手の拳も強く握りしめている。
「まあ……似たようなものかな」
残り少なくなったコーヒーのマグカップを持って立ち上がった。十二月の見事な冬晴れの東京の景色は、寂しさを醸し出す一方、新たな光を待ち忍んでいるようで、たまらなく美しい。枯れた街路樹が、やがて力強い葉を咲かせるがごとく、大島の枯れていた心も、緑緑しい葉を咲かせようとしている。
「俺はプロレスラーになる」
冬の東京を映し出す窓を背景に、大島は力強く宣言した。それは恋人である安藤と別の道を歩む、という宣言に等しいものだった。リングに立つレスラーのように、裸足でフローリングに立つ大島を、安藤はぽかんとした顔で見ている。
だが次の瞬間、大島は右の頬に強い衝撃を受けた。安藤の怒りを込めた渾身のビンタ。
いや、『逆水平ビンタ』だ。
最初のコメントを投稿しよう!