*11* 恋人終了宣言

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【Side綾瀬】 アレを、見られてた。 心臓が早鐘を打つ。 兄さんにRAINで連絡を入れる指が震えた。 動揺してはダメだ。そう思うけど、指の震えは止まらない。 深呼吸して、スマホをポケットにしまう。 エレベーターで下の階に移動しながら、少し後ろに立つ架純の顔を盗み見た。 怒っているというよりは、悲しそうな顔をしている。 「…言い訳、しないんだ」 しないってことは図星なの。と架純が呟く。 違うと俺は否定したけど、架純のリアクションは薄かった。 「乗って」 俺が咄嗟に架純を連れてきたのは、百貨店の3階にある観覧車の乗り場だった。 この百貨店には、観覧車がついていて3階から乗れるようになっている。 1周20分ほどの観覧車で、ゴンドラがシースルーなのが売りだ。 架純は、どうしてと言いたげに俺を睨みながら、観覧車に乗り込む。 俺も続いて乗り、外の景色が一望できる観覧車に、向かい合って座った。 「綾瀬さ、23日は――」 「架純」 架純の言葉を遮り、俺は架純の手を握った。 今言っても、響かないかもしれない。 断られるかもしれない。 でも、今言わなきゃいけないと思った。 ゆっくり深く息を吸い込み、慎重に選んだ言葉を吐きだす。 「俺と結婚してください」
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