*11* 恋人終了宣言

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「24日の夜、架純が仕事を終えた後、家でささやかに祝うのはどう?」 「……うん、そうだね」 私とのクリスマスは、家なんだ。 じゃあ、さっきのホテルらしき場所からのメールは何? 23日って書いてあったよ。 私以外の誰かの為に、お金をかけるんだ。 私は、綾瀬以外の誰も見ていないのに。 “私はあなただけを見つめる” 不意に、向日葵の花言葉が脳裏に浮かぶ。 私は、綾瀬を見ているけれど――綾瀬は一体、誰を見つめているの。 その目線の先に、私はいるの? 「あ、そういえば」スマホを見ながら綾瀬。「兄さんたちと会う日なんだけど、12月3日で決まりそうだよ」 来週かぁ。私はスマホのカレンダーで見ながら思った。 私が、綾瀬のお兄さんやその奥さんと顔を合わせる必要って、あるのかな。 少し前までは、緊張しながらも楽しみだった。 でも、浮気されているかもしれないと思ったら、顔を合わせても無意味なんじゃないかと思えた。 「ねぇ、綾瀬」 「ん?」 目が合う。 私、綾瀬のこと信じていいの? 「……ううん、何でもない。映画見よ」 ◇◆◇◆ 「はぁ…緊張してきた」 「大丈夫だよ。気楽に行こう」 顔合わせの場所は、百貨店の最上階のレストラン街にある寿司屋になった。 綾瀬のお兄さんがお店選びも予約もしてくれたらしい。 寿司屋に入り、待ち合わせであることを店員さんに伝える。 既に綾瀬のお兄さんもお義姉さんも来ているようで、すぐに個室に案内された。 「来たよ」 「お待たせしてすみません」 ひょいと手を挙げて挨拶する綾瀬の隣で、カチカチに緊張した私は頭を下げる。 綾瀬のお兄さんの手元には杖があって、足はサポーターで固定されていた。 そんな彼への対応なのか、お座敷に似つかわしくない椅子が置かれていて、彼はそこに座っている。 「初めまして、綾瀬…さんとお付き合いしている架純です」 「架純さん、初めまして。兄の郁人と…」 「郁人の妻の恵理です」
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