*11* 恋人終了宣言

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お酒に強い架純が酔い潰れたあの日、彼女が呟いた結婚という単語がずっと心に引っかかっていた。 復縁3ヶ月を祝った後、少し前に結婚した学生時代に親しかったTAKAこと貴弘(たかひろ)に思わずRAINを送っていた。 プロポーズを考えているからアドバイスが欲しいと。 指輪をサイズをこっそり測る方法。 指輪の値段の相場。 どんなデザインの指輪が女性に人気なのか。 どんなシチュエーションのプロポーズが成功しやすいのか。 近場でオシャレなお店はどんなところがあるのか。 とにかく色々調べた。 調べすぎて、何をすれば喜んでもらえるかわからなくなり、散々悩んだ。 ――サプライズするなら、彼女の服装が場違いにならないよう配慮してあげなよ。 ――こっそり準備してるのバレて、浮気疑われたら修羅場だからな。 ――彼女にバレるなよ。 貴弘からは、サプライズのプロポーズのメリットを教えてもらった反面、デメリットもアドバイスされた。 「結婚……?」 架純が目を見開いて、か細い声で聞き返してくる。 「指輪は、ごめん。今日するつもりじゃなかったから、まだ引き渡されてなくて」 プロポーズをする予定だったのは、23日だった。 仕事がどうなるかわからない架純の予定に合わせるつもりだった。 でも、23日は復縁半年の記念日でタイミングがよかった。 だから、架純の予定に左右されないように、ホテルのスイートルームとケータリングを予約していた。 「でも、綾瀬、浮気してたんじゃ…」 「してないよ」 俺は、スマホを差し出す。 好きなだけ中を確認していいよと伝えるも、架純は中を見ることを躊躇しているようだった。
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