297人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
お酒に強い架純が酔い潰れたあの日、彼女が呟いた結婚という単語がずっと心に引っかかっていた。
復縁3ヶ月を祝った後、少し前に結婚した学生時代に親しかったTAKAこと貴弘に思わずRAINを送っていた。
プロポーズを考えているからアドバイスが欲しいと。
指輪をサイズをこっそり測る方法。
指輪の値段の相場。
どんなデザインの指輪が女性に人気なのか。
どんなシチュエーションのプロポーズが成功しやすいのか。
近場でオシャレなお店はどんなところがあるのか。
とにかく色々調べた。
調べすぎて、何をすれば喜んでもらえるかわからなくなり、散々悩んだ。
――サプライズするなら、彼女の服装が場違いにならないよう配慮してあげなよ。
――こっそり準備してるのバレて、浮気疑われたら修羅場だからな。
――彼女にバレるなよ。
貴弘からは、サプライズのプロポーズのメリットを教えてもらった反面、デメリットもアドバイスされた。
「結婚……?」
架純が目を見開いて、か細い声で聞き返してくる。
「指輪は、ごめん。今日するつもりじゃなかったから、まだ引き渡されてなくて」
プロポーズをする予定だったのは、23日だった。
仕事がどうなるかわからない架純の予定に合わせるつもりだった。
でも、23日は復縁半年の記念日でタイミングがよかった。
だから、架純の予定に左右されないように、ホテルのスイートルームとケータリングを予約していた。
「でも、綾瀬、浮気してたんじゃ…」
「してないよ」
俺は、スマホを差し出す。
好きなだけ中を確認していいよと伝えるも、架純は中を見ることを躊躇しているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!