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観覧車を降りた後、郁人さんたちと合流した。
プロポーズのことを綾瀬が伝えたようで、私たちの新しい道を彼らは祝福してくれた。
「いつから、プロポーズのこと考えてたの?」
綾瀬のアパートへの帰り道、私は綾瀬に聞いた。
「復縁した時から、結婚するなら架純とっていうのはぼんやり考えてたんだ」
綾瀬はそう言って、繋いだ手に力を籠める。
私もその手を強く握り返した。
もう離さないと心の中で誓いながら。
「架純に別れを告げられた時、同棲していたらすれ違いを埋められたんじゃないかって後悔したんだよね。だから、復縁が叶った時、時間のすれ違いを埋められるなら結婚という選択肢もあるなって気づいた」
そんなに前から考えてくれてたんだ。
嬉しいような、恥ずかしいような。私は照れて、綾瀬から目を逸らす。
復縁半年の記念日に入籍をしようと言ったのは、どちらからだったか。
急ピッチで、互いの両親への挨拶の日程を決めた。
向日葵の花言葉は、「私はあなただけを見つめる」。
太陽の方を向いて咲く向日葵にぴったりの花言葉だと、初めて聞いたときに思った。
でも、向日葵が一方的に太陽を見つめるだけの恋は、きっといつか向日葵の負担になって疲れてしまうんじゃないかとも思った。
見つめるだけじゃ、報われない。
だけど、太陽も向日葵のことを見つめているとわかったから、きっともう大丈夫。
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