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【Side綾瀬】
「W大学商学部から来ました、榊原綾瀬です。よろしくお願いします」
お辞儀をし、そのままパイプ椅子に座る。お尻の下でパイプ椅子が大きく軋み、静かな会議室に響く。
恥ずかしさで顔が急激に火照った。
冷房つけたい。
ガンガンに効いている暖房が恨めしく思えた。さっきまでは、適温だったのに。
ここは、大手のアパレル系総合商社の企業説明会兼インターンシップの会場。
オフィスビルのレンタル会議室の一室だ。
書類選考で厳選されたインターンシップの参加者が4人1組でテーブルに着かされている。
これからインターンシップの一環で、グループワークが行われる。企業側は気軽に取り組むよう言っているけれど、俺は知っている。
この自己紹介も、グループワークも、選考を兼ねている。
成果を残せれば、最終面接まで直通だと先輩が言っていたから、気軽になんて取り組めない。
「湊架純です。R大学経済学部から来ました。今日はよろしくお願いします」
そう自己紹介をし、頭を下げるパンツスーツの女学生に目を向け、息を呑む。
せっかく火照りが冷めてきた顔が、また熱を帯びるのを感じる。
湊架純と名乗った彼女は、俺の好みそのものの顔をしていた。
幅広の二重のぱっちりした目、抜けるような白い肌の小さな顔。主張しない小さな鼻と、ピンク色の薄い唇。
化粧をしている感がないのに、この場にいる誰よりもきれいな顔立ちをしていた。
……って、ダメだ。今はインターンシップに集中しないと。
俺は邪念を振り払い、企業の人に配られたプリントを眺める。
「今から30分時間を取るので、プリントにある課題についてグループで話し合ってください。時間になったら、グループの代表の方に発表してもらうので――」
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