*01* 運命的な出会い

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【Side綾瀬】 「W大学商学部から来ました、榊原綾瀬です。よろしくお願いします」 お辞儀をし、そのままパイプ椅子に座る。お尻の下でパイプ椅子が大きく軋み、静かな会議室に響く。 恥ずかしさで顔が急激に火照った。 冷房つけたい。 ガンガンに効いている暖房が恨めしく思えた。さっきまでは、適温だったのに。 ここは、大手のアパレル系総合商社の企業説明会兼インターンシップの会場。 オフィスビルのレンタル会議室の一室だ。 書類選考で厳選されたインターンシップの参加者が4人1組でテーブルに着かされている。 これからインターンシップの一環で、グループワークが行われる。企業側は気軽に取り組むよう言っているけれど、俺は知っている。 この自己紹介も、グループワークも、選考を兼ねている。 成果を残せれば、最終面接まで直通だと先輩が言っていたから、気軽になんて取り組めない。 「湊架純です。R大学経済学部から来ました。今日はよろしくお願いします」 そう自己紹介をし、頭を下げるパンツスーツの女学生に目を向け、息を呑む。 せっかく火照りが冷めてきた顔が、また熱を帯びるのを感じる。 湊架純と名乗った彼女は、俺の好みそのものの顔をしていた。 幅広の二重のぱっちりした目、抜けるような白い肌の小さな顔。主張しない小さな鼻と、ピンク色の薄い唇。 化粧をしている感がないのに、この場にいる誰よりもきれいな顔立ちをしていた。 ……って、ダメだ。今はインターンシップに集中しないと。 俺は邪念を振り払い、企業の人に配られたプリントを眺める。 「今から30分時間を取るので、プリントにある課題についてグループで話し合ってください。時間になったら、グループの代表の方に発表してもらうので――」
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