*01* 運命的な出会い

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終わった。 俺はプリントをファイルにしまいながら、ため息をついた。 グループワークでは自分の意見を上手く言えなかったし、進行やタイムキーパーの美味しい役は他の学生に持っていかれてしまった。 慌てて発表役をかったのはよかったけれど、発表の時に緊張して、噛みに噛んだ。 こんな成果では、選考に残れるはずがない。 就活解禁日になれば、また選考方法は追加されるだろう。1次面接から受けて、内定をもらう方法もあるはずだ。 でも、この企業は大手で、採用枠自体が狭き門だ。このインターンシップで、どれくらいの人が最終面接までたどり着くんだろう。 それに、1次面接を受けるための書類選考を通過できるのかもわからない。 「はぁ…」 カバンにファイルをしまい、ファスナーを閉めた時だった。 「榊原さん」 名前を呼ばれ、顔を上げると社員の佐藤さんが立っていた。 彼の後ろで、多くの就活生が会議室を出て行くのが見える。 「は、はい!」 ため息ついてたのを注意される?それとも、発表の時噛みに噛んでたのを指摘される? 怖くて、耳を塞ぎたくなった。 「グループワークお疲れ様。榊原さんが一生懸命グループワークに取り組んでいるのを見させてもらいました」 佐藤さんは言い、それから声を潜め、「それで、榊原さんには是非最終面接に進んでほしいなと」 え?俺は耳を疑った。 失敗したと思っていたから、まさか声を掛けられるなんて思ってもいなかった。 「どうかな?」 「お願いします!」 社員と話している数人の就活生以外、会議室からいないのを見て、俺は佐藤さんに頭を下げた。 「よかった。榊原さんみたいな物事に一生懸命取り組んでくれる人に、活躍してほしいと思ってるんだ」 これはチャンスだ。とてつもないチャンスだ。 俺は心の中で力強くガッツポーズをした。 「じゃあ、面接の日程調整に関するメールをまた後日送るから、確認次第返信よろしくね」 「はい!」
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