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【Side架純】
綾瀬と復縁してから3ヶ月が経とうとしている。
世間はハロウィン一色で、おかげで綾瀬も私も仕事が少し立て込んでいる。
あれから綾瀬は、最終選考まで残った転職先候補を全て辞退して、個人経営に近い小さな会社に転職した。
そこはハンドメイド雑貨からインテリア雑貨まで幅広く取り扱う雑貨オンラインストアの運営会社だそうだ。
今まで仕事でこなしてきたことを活かせつつ、代表が主婦ということで働き方にゆとりがあるとかで好待遇な職場だ、と綾瀬は言っている。
ハロウィンに向けて、インテリア雑貨を強化しているようで、社員5人で慌ただしく走り回っているそうだ。
――大変そうだね。
と言ったら、前の会社と違って和気あいあいとしているから、立て込んでも苦じゃないと綾瀬は楽しそうに言っていた。
かく言う私も、ハロウィンに向けてスキンケア用品もメイクアップ用品も飛ぶように売れるから慌ただしくしている。
ハロウィンはコスプレをする人が多いからか、特に高発色のメイクアップ用品は売れ行きがいい。
店頭の接客はもちろん、在庫管理のための発注業務はなかなか読みづらく、店長の山本さんと頭を抱える日々だ。
でも、それもやりがいがあって楽しい。
「あ、湊さん、今いいかな?」
パソコンでの発注作業を終え、昼休憩に入ろうかというタイミングで、山本さんに話しかけられた。
「何でしょう?」
「あのね、まだ決定事項じゃないんだけど、他店の店長が本社に異動になって、店長のポジションが空くことになりそうなの」
まだ内緒だよ、と言いつつ山本さんは話を続ける。
どうやら、山本さんの同期に人事部の人がいるらしく、店長の勉強を頑張っている私に教えようと、話す機会を伺っていたらしい。
「市内の中央区のお店だから、客足もライバル店も多くて激戦区ではあるんだけど、湊さんみたいに熱心な子なら楽しめると思うんだ。どうかな?興味ある?」
中央区なら、百貨店のテナントのお店と、駅の地下街に入っているテナントとある。
どちらも激戦区には変わりないけど。
それに、転職した綾瀬の職場は、中央区の隣の中央南区だ。
今よりは距離が近くなる。
激戦区と言われると身構えてしまうけど、やりたかった店長のポジションに手が届くなら、興味がないはずがない。
「あります!興味」
つい食い気味に返事をすると、山本さんは「わかった」と笑いながら頷いた。
そして、人事部の方に私を推薦すると言ってくれた。
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