*01* 運命的な出会い

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同時に彼から、「よろしく」のスタンプが送られてきた。 どうしよう、即既読ついちゃったよね。 ものすごくメッセージ待ってた人みたいになっちゃった。 既読をつけてそのままというのも気まずくて、 「今日はお疲れさまでした」 とだけメッセージを送った。 “あやせ”さんのアイコンは、海の前で友達と思しき人たちと撮ったものだった。 同じ大学の人たちと何ら変わらないアイコンに、急に彼が近い存在に思えた。 就職活動中に出会ったから、何となく遠く高いところにいるように感じていたのかもしれない。 「そっか。そうだよね」 だって同じ大学3年生だもんね。 就職活動してたって、まだ学生でいいんだよね。 就職活動で、学生生活を客観視していると、急に大人にさせられるような感覚があった。 いきなり背伸びを強いられているような、学生と社会人の間には明確な線引きがあるような、そんな感覚。 でも、ゆっくりでいいんだ。 “あやせ”さんのアイコンを見て、そう思えた。どこかほっとして、力が抜けたのを感じた。
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