*09* Re:START

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思い切って聞く? いや、でも何て聞けばいいの? 綾瀬って、結婚したら奥さんには家庭に入ってほしい人?って直球で聞けばいいの? いやいやいや、さすがにデリカシーなくない? というか、そういうこと聞くと、結婚急かしてるみたいになっちゃうんじゃあ? 私の考えすぎ? でもなぁ…私の意図が全部相手に伝わる訳じゃない。 急かしてるつもりはなくても、綾瀬はそう受け取るかもしれない。 「喋んないけど、どうしたの?お腹痛い?」 考え込んでしまった私に、綾瀬が聞いてくる。 このお気楽め。ええい、お酒の勢いで聞いちゃえ。 「綾瀬ってさ、結婚したら奥さんには家庭に入ってほしい人?働いてても気にしない人?」 「……」 応答がない。 あれ?もしかして失敗した? ぱっと顔を上げて、向かいに座る綾瀬の顔を見ると、目を伏せて戸惑っていた。 急かしてるって思われた!? 「あ、ああ、まって、違うの。もしもの話だから。急かしてるとかじゃないから!」 慌てて弁明しようと口を開いたものの、言いたいことが次から次に出て来て、早口になってしまった。 おまけに少し上ずった変な声。 こんなつもりじゃなかったのに、これじゃあ急かしてひとりでパニックになってるみたい。 恥ずかしさが急激にこみあげて、飲みかけのワイングラスを一息に飲み干して空にした。 綾瀬に質問の隙を与えず、私は近くの店員さんにワインを注文した。 「あのさ――」 ワインを待つ私に、綾瀬が話しかける。 何か言われたような気がしたけど、急に酔いが回って、何を言っているか聞き取れない。 ぐるぐると、目の前の景色が回っているような気がした。
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