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転生した
「よっ!アンジーもう帰りか?」
勢いよく背中を叩かれてつんのめると、友人のロナウが笑顔で俺の肩を抱いてきた。
「で?もうこのまま帰るなんていわないよな?待ちに待った給料日だぜー!」
なんてはしゃぐロナウは俺の友人。
友人?…ゆうじんってなんだ??
(いやいや…あれ?俺こんな外国人と面識ねーしまったく知らないんだけど?)
だけど俺は彼を友人と認識しているし、視界に映る田舎風の外国っていう風景も知らないのに知っている。
(え?ンあぁ??『見覚えが無い』のに『見知ってる』ってこの奇妙な感覚…なんだぁ?)
その瞬間パアアっと額が光った。同時に前世の記憶が蘇る。
俺はA山N央というキラキラネームにうんざり諦めた日本人でまだ20代半ばで死んだ。
「ぅ、わっ!なんだこれ…」
「あちゃ~…アンジーもなっちゃったかぁ」
「はぁ?」
「おでこに「転」ってでてるもん。ってことは昨日のアンジーと今日からのアンジーは別人だね。」
「それってどういう、…あっ!」
で、腑に落ちた。あぁこれは所謂『転生系』だと。
飽きるくらい流行ってたアレだ、アレ。
なろう系といわれる小説しかりK国漫画アプリしかりの末、アニメもエンタメすべてがそればかりになった『アレ』だ。
「ちなみに俺にもあるよ~、ホラっ!」
ぺろんと前髪をあげたロナウの額には『転』の字が赤丸されて判子みたいに押されてた。
「え、ちょ、ちょっと待って…どういうこと??」
「だから転生したってことでしょ?これはそのマークってことかな?あ、でも転生者同士にしか分かんないってか見えないんだけど。」
「それって、つまり…お前も?」
「だからゆってるじゃーん、そうだよぉ?ま、ココで生きてきた記憶もあるからそうそう困らないし案外やってけるもんだよ。」
「はぁそういうもんか?」
「そりゃそうさ。だってアンジーはもうここで生きていくしかないんだもの。ってことで、あらためてこれからもよろしくね。」
にっこり笑顔のロナウは俺のあの判子みたいな痕があるであろうところをつんっと小突いてケラケラ笑った。
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