こいつらは不幸を呼ぶ妖精だ

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 早朝、俺は一通りの準備を済まして玄関扉を開ける。向かう先は、生まれ育った祖父母の家だ。  俺が出て行こうとすると、何故か妖精が俺から離れない。鬱陶しそうに追い払うが、そいつは予想以上に粘る。  そこで俺は閃いた。それならいっそ、祖父母に預けよう、と。俺に面倒なんて見れないし、祖父母なら可愛がってくれるだろう。  俺が抵抗を止めると、そいつは俺の肩に寄り掛かってくる。煩わしいが、今日でお別れなのだから我慢しよう。  祖父母の家までは電車で三十分、そこからバスで十五分だ。 「ふーーーー」 「ミューーー……」  妖精持ちだから、電車での周囲の視線が煩い。そして無事乗り越えて、バス停での待機時も、常に周囲の視線を釘付けにして流石に気疲れしてきた。肩に寄り添うこいつも、目に見えてぐったりしている。いい気味だ。  バスでの移動時には、周囲の景色は田舎のものへと変貌していた。自然の景色をぼーーと眺めていると、桜並木を通過していく。  今日は俺にとって特別な日。俺の誕生日でもあり……母さんの命日だ。  祖父母の家に帰省するのは、母さんの墓参りをする為である。
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