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Phase 01 消えた姉妹
真っ黒な空に、白い雪が降っている。ある女性が、雪が降り積もった真っ白な河川敷に足跡を残していく。女性は、靴を履いていない。裸足の状態である。
「もう、何もかもが厭だ」
そう言い残した女性は、豊岡の水の大動脈である円山川の中へと入っていく。周りで彼女を止める人なんて、こんな寂れた田舎町だといるわけがなかった。
数日後、「女性だったモノ」は円山川で釣りをしていた子供たちによって発見された。「女性だったモノ」は損傷が激しく、そのままでは身元の確認が出来ない状態だった。しかし、兵庫県警の科学捜査班によるDNA鑑定から彼女が間宮亜紀だということが分かった。母親である間宮由香は深く悲しみ、父親である間宮賢治は激しく慟哭した。そして、亜紀の姉である間宮美和はもうこの世にいない妹の手を強く握っていた。美和にとって、それは氷のように冷たく感じた。
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