白銀の祟り

Phase 02 疑惑の死体

【第1の事件】
・被害者　間宮亜紀（35）
・死因　入水自殺による凍死
・備考　入水自殺を図る前日に、婚約者である藤崎亮と性交渉をしていた。それで妊娠が発覚したかどうかは不明。

【第2の事件】
・被害者　間宮美和（31）
・死因　自殺、もしくは絞殺
・備考　亜紀の遺体が発見されてから頭痛を訴えていた

【第3の事件】
・被害者　間宮賢治（58）
・死因　焼殺
・備考　円山川の土手で目撃情報あり

　3つの事件についての整理が終わったのは、午前2時を過ぎるか過ぎないかの境界線だった。コーヒーでアルコールを抜いたせいで眠れなくなってしまったので、なんとなくテレビの電源を点けた。カラーバーや通販番組が映し出されている中で、ふと目に留まったチャンネルがあった。そこに映し出されていたのは所謂(いわゆる)異世界転生系の小説を原作としたアニメだったが、仁美にとってそれは面白く見えた。簡単に言うと、トラックで轢かれた弁護士が異世界に飛ばされて、現地の法律に基づいて事件を解決するという今までにありそうで無かったミステリアニメだった。奇しくも、その日のエピソードは「火属性の魔法で勇者を燃やしてしまった魔法使いに対してどういう判決を下すか」というエピソードだった。弁護士が言うには、「日本の法律では立派な業務上過失致死傷罪だが、それはこの世界においても同じ」とのことだった。矢張り、魔法使いと雖も間違えて勇者を火あぶりにしてしまう事はあるのかと仁美は思った。
　そのアニメが終わったのは午前3時前だったか。漸く眠りにつこうと思った時だった。仁美のスマホに通知が入ってきた。しかし、体が思うように動かない。どうせ大した用事じゃないだろうしと思って、仁美はそのまま深い眠りへと落ちた。