Phase 02 疑惑の死体

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 仁美がそのメールを閲覧したのは、午前7時頃だった。 「うーん、よく寝た。アレ、絢奈ちゃんからメールだ。一体何があったんだろう」 【西田刑事、拙いことになった! あれから間宮家と藤崎家について色々と調べていたんですけど、どうも藤崎家の様子がおかしい。なんというか、藤崎家の家系図を遡って調べると、正太郎さんは所謂宗教家だった。それも、昔からある宗教じゃなくて新興宗教の教祖だ! このままだと、間宮家は全員殺害されてしまう! せめて、由香さんだけでも護ってほしい。彼女の生死に全てが懸かっている 神無月絢奈】 「えっ? 由香さんの命が狙われている? そんなことあるの? いや、このメッセージが事実だとしたら拙いことになる。とりあえず、由香さんに連絡しよう」  仁美は由香のスマホへ電話をかけた。しかし、「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が切れているためお繋ぎできません」という無機質なアナウンスが鳴り響いていた。 「えっ、絢奈ちゃんのメールって本当だったの? まあ、そんな小説みたいな話が実際にある訳じゃないし……とりあえずニュースでも見てみるか」  仁美がテレビの電源を点けた瞬間だった。アナウンサーが、ニュース速報を読み上げていた。 「今入ってきたニュースです。兵庫県豊岡市で発生している一家連続不審死事件について、新たな被害者の情報が入ってきました。殺害されたのは間宮由香さんであり、遺体は首から上がない状態で発見されました。首から上の遺体がどこにあるかは、現在捜査が進められているところです」  仁美の心臓の鼓動が早鐘を打つ。そんな中で、スマホに鶴丸刑事から着信が入ってきた。 「ひ、仁美ちゃん! 大変だ! 間宮家で新たな遺体が見つかった! しかも首なし死体だ!」 「知ってます。今、ニュースで流れています」 「そういう訳で、今すぐ現場に来てくれませんか? そっちにパトカー走らせますんで」 「分かりました」  ビジネスホテルの窓の下に、パトカーが停まっている。恐らく鶴丸刑事が派遣したものだろう。  そして、仁美はパトカーに乗り込んで由香の殺害現場へと向かった。 【矢張り、間に合わなかったか。僕の忠告がもう少し早ければ、こんなことにはならなかったのに。まあ、今更後悔しても仕方ない。引き続き、僕も事件についてプロファイリングを行っていくから。それじゃ 神無月絢奈】
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