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「えーっと、ここが藤崎家ですか。それにしても大きな家というか、昔の武家屋敷みたいな家ですね」
「まあ、豊岡は阪神大震災の影響が少なかった場所だから、こういう家は結構残っていると聞きました。けどここまで大きな武家屋敷は僕も見たことがありません」
仁美は、藤崎家のチャイムを押した。
「すみませーん、私、兵庫県警捜査一課の西田仁美と申します。藤崎亮さんはいらっしゃらないでしょうか?」
「け、警察ですか!? ちょうど良かったです! 大変です! 亮が!」
声の主は藤崎千尋だったのだが、その声色は明らかに憔悴していた。一体何があったのだろうか。
仁美と鶴丸刑事は藤崎家の中へと入っていく。玄関に飾られた武将の鎧は、この家が名家である事を示していた。
「刑事さん、こちらです」
千尋に案内されるように、2人はある場所へと向かっていく。そこはどう見ても普通の和室だった。そこにいるのが藤崎亮だったモノであることを除けば。
――藤崎亮だったモノは、血を吐いた状態で眠っていた。
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